電圧制御増幅器(VCA)
電圧制御増幅器(VCA)とは
音声信号とコントロール信号を入力し、コントロール信号によって音声信号の音量を変化させる回路です。VCAとは”Voltage Controlled Amplifier”の略称です。
回路図
部品
記号 | 部品名 | 数量 | 備考 | 型番 |
---|---|---|---|---|
P1 | 基板用マイクロUSBコネクタ(電源専用) | 1 | P1, P2はどちらか一つあれば動きます | MRUSB-2B-D14NI-S306 |
P2 | ピンソケットなど自由に | 1 | P1, P2はどちらか一つあれば動きます | |
R1 | 抵抗器 100kΩ | 1 | ||
R2 | 抵抗器 1kΩ | 1 | ||
R3 | 抵抗器 1MΩ | 1 | ||
IC1 | NJM2737D
ICソケット2×4 | 1 | オペアンプ | |
Q1 | 2SC1815-GR | 1 | NPNトランジスタ | |
J1, J2, J3 | MJ-352W-O | 3 | オーディオジャック |
使い方
Audio IN 端子に音源を入力し、Audio OUT 端子にスピーカや次のエフェクタをつなぎます。そして、CV IN 端子にコントロール用の電圧を入力します。CV IN に入る電圧に応じて入力音源の最大振幅が制限されます。例えば 2.5V を入力すると音量は半分になります。入力用の音源としてオシレータなどをつなぐことも可能です。
使用例
- Audio IN に MP3 プレイヤー・スマホなど、Audio OUT にイヤホンなどを接続
します。 - CV IN に LFO として抵抗とコンデンサを取り付けたオシレータを接続します。
- MP3 プレイヤーから音を流します。
- オシレータの音量と周波数によって、MP3 プレイヤーの音量が変化します。
音量が変わる仕組み
このVCAは、NPNトランジスタを使って音量を制御しています。
トランジスタにはエミッタ、コレクタ、ベースという3種類の端子があり、ベースに入力された電流の一定倍に増幅した電流を、コレクタとエミッタの間に流してくれる、という装置です。この増幅率を\(h_{FE}\)といいます。
イメージとしては、水道の蛇口のようなものです。水道の蛇口の入力と出力がコレクタとエミッタで、蛇口の開き具合をベースで制御する、という感じです。
信号の流れ
Audio Inから入力された信号は、オペアンプのバッファを経由した上で、トランジスタのコレクタに入り、エミッタから出てきます。その際、エミッタから出てくる信号の振幅の最大値は、ベースに流れる電流量に比例して制限されます。そして、ベースに流れる電流は、CV inから入力された電圧に比例して決定づけられます。例えば、CVに5Vを入力した場合と2.5Vに入力した場合では、CVが2.5Vの際の入力信号の振幅の最大値はCVが5Vの場合と比較して半分になる、ということです。
つまり、このVCAは振幅の最大値を制限しているので、厳密には増幅よりもリミッターという方が近いかもしれません。Audio inに三角波を入れた場合、CV電圧が下がるにつれて頂点が次第に平らになり、矩形波に近い音になる(=倍音成分が増える)ということもあります。