VCOの音が鳴る仕組み


Maker Faire Tokyoなどのイベントで展示をしていると「回路はどうなってるんですか?」や「どうやって動いてるんですか?」と質問していただくことが多いので、QuxのVCO基板の動作説明を書いてみました。

波形を作る部分の回路は下記のようになっています。

ざっくり説明

ざっくり説明すると、下記のようになります。

  • 三角波を作っている部分は積分回路。オペアンプの2つの入力はバーチャルショートされているので、同じ電圧になる。三角波のプラス入力は一定なので、マイナス側も一定。マイナス側が一定になるための電流を考えると、出力の三角波が出力されることがわかる。
  • 矩形波を作っているオペアンプには定電圧と三角波が入力されていて、この2つの入力を比較するコンパレータとして動作している。
  • 矩形波の電圧によってトランジスタのON/OFFが切り替わり、三角波の電圧上昇、下降が切り替わる。

詳細説明

三角波を作る部分の動作

この部分は積分回路と呼ばれる回路です。
各部分に着目しながら動作を説明していきます。

オペアンプの入力部分の電圧

まずはオペアンプの入力部分です。積分回路で出てくるオペアンプにはバーチャルショートという性質があり、2つの入力は常に同電圧になります。
+側は、電圧V1と抵抗R2,R3で計算できます。R2,R3の抵抗値は同じなので、+側の電圧はV1の半分(=V1/2)になります。
バーチャルショートされているので、ー側も同電圧(=V1/2)です。

オペアンプの入力電圧をVopiとすると、+側もー側も下式になります。
Vopi = V1/2

積分回路に流れる電流

積分回路につながっているトランジスタスイッチがONかOFFかによって状況が異なるので、2つに場合分けして考えたいと思います。
(トランジスタスイッチについて詳しくは後述するので、まずはON/OFFという2つの状態があるんだな~と思っておいてください。)

場合分け1:トランジスタスイッチがONの場合

トランジスタスイッチがONの場合、R4とGNDが短絡されているのと同じなので、トランジスタを省略して下図で考えます。

オペアンプの性質として、オペアンプの入力部分には電流は流れません。
そのため、R2に流れる電流はそのまますべてR3に流れます。
この電流をI2とすると、下式で表せます。
I2 = (V1-Vopi)/R2 = Vopi/R3 = V1/(2*R2)

一方、R1に流れる電流をI1とすると、これは下式で表せます。
R1がR2の約2倍なので電流は半分です。(今回の回路の計算では数学的な厳密性は求めていません。100kΩと51kΩは厳密には2倍の関係ではないですが、約2倍として計算しています。)
I1 = (V1-Vopi)/R1 = (V1-Vopi)/(2*R2) = I2/2

R4に流れる電流はR3と同じで下式となり、I2とも等しいことがわかります。
I4 = Vopi/R4 = Vopi/R3 = I2

R1,R4,C1がつながっている部分でキルヒホッフの第一法則を考えると、C1に流れる電流Icが計算できます。
I1 – I4 – Ic = 0
Ic = I1 – I4 = -I2/2
Icが負の数なので、コンデンサには左側にI2/2の電流が流れていることがわかります。

場合分け2:トランジスタスイッチがOFFの場合

トランジスタスイッチがOFFの場合、R4から先はないのと同じなので、R4から先を省略して下図で考えます。

R2, R1に流れる電流は、トランジスタスイッチがONの場合と同じです。
I2 = (V1-Vopi)/R2 = Vopi/R3 = V1/(2*R2)
I1 = (V1-Vopi)/R1 = (V1-Vopi)/(2*R2) = I2/2

トランジスタスイッチがOFFのとき、R4から先はないので、R1に流れる電流はすべてC1に流れます。
Ic = I1

オペアンプの出力部分の電圧

今後追加します!

矩形波を作る部分の動作

今後追加します!

トランジスタスイッチの動作

今後追加します!

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